感電 / 米津玄師

※とある課題で2年前に書いた文章です。なんか拙い。

 

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ホーンの音が印象的で、ジャズやファンクのエッセンスを昇華した音像におもしろさを感じる、久しぶりの肩の力が抜けたポップス。

そんなことを思いながら聴いていたら、2番サビ後のトリッキーな展開で頭がぐわっとなる感覚が癖になって、やはりただのポップソングでは終わらない。

 

ファンの中には1番の《ワンワンワン》2番の《ニャンニャンニャン》を彼が歌う姿に想像を膨らます人もいるだろう。

その後に挿入される犬と猫の鳴き声のサンプリングも含めて、そこにあるのは彼の遊び心のようにも解される。

 

しかし米津玄師といえば、これまでにいくつもの”変な音”を忍ばせてきたミュージシャンである。

歴史的な大ヒット曲となったバラード『Lemon』でも”ウェッ”という謎の音は注目されたし、『Flamingo』では肉体から発される、およそ音楽からは遠いような様々な音がサンプリングされている。

彼が発表してきたボカロ曲の中でもメロディも言葉も持たない”変な音”はたびたび登場しており、その延長線上に今回の犬と猫の鳴き声も捉えられるのではないか。

 

思えば彼は、沖縄民謡にインスパイアされた『Flamingo』やデジタルクワイヤを多用した『海の幽霊』、現代音楽を取り入れた『パプリカ』のように、これまでJ-POPにはなかった音をJ-POPに昇華して、オリジナリティとポップの普遍性の両立を誰も追随し得ない水準で実現してきた。

そんな彼にとって、一連の”変な音”の挿入も彼の音楽への挑戦であり、『感電』ではそれを”遊び心”でカモフラージュしながらやってのけているのかもしれない。

 

ポップな中にも音楽的挑戦をし続ける、彼の真骨頂と言える楽曲だ。