日記

三階建てのマンションの階段を降りて外に出たら、全方位から身に襲いかかる熱気に思わず声を上げた。

思わず、と自分で自分に無垢を装いながら、「あっつっ」と少し腹に力を入れて声を出したその瞬間、自分じゃない自分を生きているような、野性味のある人間になれたような気がした。

 

家に帰ると何より早くクーラーをつけて、シャツを脱いで、靴下を脱いで、洗濯機に投げ込む。

そのつもりが、どこか頭がとろっとしていたのか、無意識に靴下をゴミ箱に投げ入れた。

あ、ちがう、とすぐに気づいて靴下を拾いあげようとするが、「でももう結構長いこと履いてるしな」と思って、そのまま捨てることにした。

そんな人生のような気がした。